ブランド構築を成功に導く7つの戦略!ペルソナ設定とは?

現在の日本の市場は、供給過剰といわれて久しい状態です。そんな中で、消費者に自社の製品を選んで購入してもらうには大変な企業努力が必要です。
ブランド構築は、自社の製品を末永く指名買いしてもらえるビジネス効果を生み出す、有効なマーケティング方法の一つです。この記事では、ブランド構築を成功に導くための7つの戦略について紹介いたします。ブランディングにお役立てください。

目次

  1. 1. ブランド構築の意味をチーム全員が理解すること
  2. 2. ブランド構築が成功しそうかどうか業界内の現状を分析する
  3. 3. ブランド構築に関わるメンバーが感情移入できるよう具体的なペルソナを設定する
  4. 4. ペルソナに近いユーザーに適宜面接やヒアリングを行う
  5. 5. 競合他社商品との差別化を図るため自社のポジショニングを決める
  6. 6. 「ペルソナにどう思われたいか」を明確にしブランドアイデンティティ(BI)を決める
  7. 7. デザイン戦略はBIを意識すべきだが広く意見を聞くことも大切
  8. ブランド構築はポイントを押さえて効果的に

1. ブランド構築の意味をチーム全員が理解すること

ブランド製品というと高級な外国製メーカーのロゴがすぐに思い浮かぶように、ともするとロゴやマークそのものに価値があると思いがちです。しかし、ブランドはロゴやマークを決めれば自然に出来上がるわけではありません。
ブランドを構築する意味をチーム全員が理解することがブランド構築の成功に重要な戦略ともいえます。

ブランド構築とは自社製品に独自の感情を持ってもらう取り組み

人々が「より安く、より品質の良いものを求める」のは当然です。昨今はそれだけでなく、「より自分のライフスタイルに合ったもの」を選ぶ時代です。その商品を購入することで、自分の生活にプラスされる精神的な価値にこだわる人々も一定層存在します。

世界の有名ブランドにみる「精神的な価値」

ブランドの精神的な価値について、よく引き合いに出されるのはアメリカのオートバイメーカーの「ハーレーダビッドソン」です。ハーレーダビッドソンは世界恐慌を生き残った老舗のメーカーですが、日本では特に中年男性を中心に根強い人気があります。彼らがハーレーダビッドソンに乗る理由は、多くは趣味のためです。コストパフォーマンスを考えたら、国産のオートバイにも、性能やデザイン性の優れた商品はたくさんあるはずです。

ハーレーダビッドソンのコンセプトは ”ALL FOR FREEDOM ,FREEDOM FOR ALL”「全ては自由のために。自由をすべての人へ」というものです。ハーレー創業者のパーソナリティは「一匹狼の生き様に憧れる人」でした。1960年代以前の男性的なアメリカのイメージを彷彿とさせるハーレーダビッドソンのコンセプトは、日本のハーレーファンたちの心を掴んで放しません。

「より良い品質のものをより安く」手に入れたいというマーケティングの常識は、ハーレーファンには通用しないのです。
彼らにとってハーレーダビッドソンは、趣味のツーリングの快適さと同時に、ハーレーを所有し、ハーレーを愛する自分に”ALL FOR FREEDOM ,FREEDOM FOR ALL”という誇りを与える存在なのでしょう。

これがブランドが愛好者に与える「精神的な価値」です。

ブランド構築は他社との競争ではなくユーザーの心に訴えること

ブランド構築は他社との競争ではなくユーザーの心に訴えること

「より良い品質のものをより安く」手に入れたいユーザーは、同じような特徴のない商品が並んでいれば価格の安いものを選びます。ブランドで選ばれる商品には、競合商品に比べて決定的な特徴があり、それは、あるユーザーにとっては「安い方が売れる」「高品質な方が売れる」という市場原理を覆すほどの価値があります。

この点で、ブランド構築はマーケティングの常識とは別の視点から考えるべきで、競合他社との競争ではありません。むしろ、一定層のユーザーの心理を研究し、特別なニーズに応える準備をする作業といえます。

2. ブランド構築が成功しそうかどうか業界内の現状を分析する

自社の製品を取り巻く業界の現状の分析も欠かせません。例えば、圧倒的に安い商品が多い中では、いくら品質が良くても自社製品をブランド化して採算がとれるか心配です。また、例えば自社製品が生活に潤いを与えるものだとしても、長引く不況下では購買層が限られてしまいます。ブランディングマーケティングが通常のマーケティングとは視点が違うとしても、魔法の杖ではないのです。

ブランド構築は、成功すれば末永く顧客を獲得できる強みがあります。一方で、顧客層を限定してしまう結果、収益が限られるのではないかという不安材料もあります。ブランド構築は、ある意味、ビジネス上の大きな冒険といえるでしょう。

3. ブランド構築に関わるメンバーが感情移入できるよう具体的なペルソナを設定する

ブランド構築に関わるメンバーが感情移入できるよう具体的なペルソナを設定する

ターゲットとペルソナは混同されがちですが、ターゲットは特定の傾向や性質を持った集団で、ペルソナはターゲットを代表する一人の架空の人物です。ブランド構築の基本になるのは、この架空の人物の具体的な人物像です。

例えば、ハーレーダビッドソンであれば、「年齢は50歳代後半の男性。既婚、娘2人。有名私大卒業後、都内の大手建設会社に就職したが、数年前父親から相続したマンション数棟の経営を引き継ぎ退職。自家製ハムと地ビールの店を開店し、自由な時間ができたので仲間とツーリングに行くのが楽しみ。バイクは学生時代からの趣味で、ハーレーに乗るのが夢だった。湘南地区の一戸建てに2歳年下の妻と20代未婚の娘1人と住む。昨年嫁いだ長女にもうすぐ第一子が生まれる予定…」というペルソナを想定できます。

ちなみに、一般的なペルソナ設定のための項目には以下のものがあります。

  • 属性:氏名・年齢・性別・職業・家族構成・居住地・住居形態・年収
  • パーソナリティ:個性・性格・価値観・こだわり・誇り・自負・不安・不満
  • ライフスタイル:ファッション意識と実態・食意識と実態・住意識と実態・働き方意識と実態・遊び意識と実態・休息や癒し意識と実態・学び意識と実態・美意識と実態・子育てや教育意識と実態・健康意識と実態
  • 周囲との関係性:コミュニティ・メディアや情報源・デジタルリテラシー・ソーシャルメディア・好きな著名人・情報感度
  • ブランドとの関係性:カテゴリーに対する態度・競合ブランドに対する態度・自社ブランドに対する態度

ペルソナを詳細に設定するのは、ブランド構築に関わるメンバーがペルソナに感情移入、共感しやすくするためです。
通常、ブランド構築には複数の部門から、数名〜数十人の社員が関わるものです。ペルソナ設定が曖昧では、ブランド構築のコンセプトが大きくブレてしまう可能性があります。そのために、具体的すぎるほどのペルソナ設定が必要なのです。

4. ペルソナに近いユーザーに適宜面接やヒアリングを行う

ペルソナに近いユーザーに適宜面接やヒアリングを行う

ペルソナの大まかな枠が決まったら、実際にペルソナに近いユーザーに面接を行い、さらにペルソナの特徴をはっきりさせるとよいでしょう。面接のパターンもグループ面接のほか、親しい友人同士で来てもらい、雑談しながらニーズを聞くなど、工夫をこらしてみましょう。筆記アンケートなどとは違った手応えが得られるかもしれません。

5. 競合他社商品との差別化を図るため自社のポジショニングを決める

ペルソナの設定ができたら、競合企業と自社、あるいは、自社の他のブランドと自社の新ブランドがペルソナのマインドの中で、どこに位置づけられるかを検討しましょう。ポジショニングを決めるには、ポジショニングマップを使うのが便利です。

競合他社商品との差別化を図るため自社のポジショニングを決める

ポジショニングマップは情緒的な価値を位置づける方法です。ハーレーダビッドソンを例にすれば、ラグジュアリー(高級)で都会的(おしゃれ・ハイセンス)となり、国産オートバイは環境に配慮されて、手頃な価格というイメージです。

このポジショニングをプロモーションで表面に打ち出していけば、ブランドの個性が際立ちます。競合他社商品との差別化を図るために、ポジショニングマップは非常に役立つでしょう。

6. 「ペルソナにどう思われたいか」を明確にしブランドアイデンティティ(BI)を決める

「ペルソナにどう思われたいか」を明確にしブランドアイデンティティ(BI)を決める

ブランドアイデンティティは、企業側からの主張ではなく、「ペルソナにどう思われたいか」というイメージを明確化したものです。

例えば、

  • グーグル:世界中のあらゆる情報を整理し、アクセス可能にする
  • アップル:異端な人たちが、自由に創造性を発揮できる世の中に変える
  • コカ・コーラ:世界中どこにいても、人々が体と心、そして精神をリフレッシュできる社会を実現する

というブランドアイデンティティを掲げています。

注目すべきは、企業の利益が目標ではなく、人々と社会の望ましい姿を設定していることです。

7. デザイン戦略はBIを意識すべきだが広く意見を聞くことも大切

ブランドが立ち上げられ、商品が発売される時に最も目立つのはブランドのロゴかもしれません。ブランドのロゴやイメージカラー、代表的な商品のパッケージなどはブランドアイデンティティを可視化したものともいえます。

広報担当者はブランド構築の初期からチームに加わり、ブランディングについてよく理解している必要があります。ブランドのロゴはデザインだけ切り離して考えられません。しかし、初めて見るユーザーにどのような印象を与えるかは関係者だけでは図り難いものです。ロゴの選定には何種類かの候補を用意して、いろいろな人に見てもらう機会を持つのがよいでしょう。

企業ブランディングでロゴが重要になる4つの理由

ロゴの権利についても確認を

ブランド構築にあたりロゴのデザインも大事ですが、ロゴ作成の際は権利についてもしっかり確認しましょう。
そのロゴの著作権はどうなっていますか?また、商標登録は不要ですか?

ロゴの権利については下記記事で詳しく説明していますので、ぜひ参考にしてください。
ロゴの著作権を解説!作成時に知っておきたいルール

ブランド構築はポイントを押さえて効果的に

ブランド構築は成功すれば、顧客の定着で安定した収益を上げることができ、企業の信用度も上がります。
ブランド構築のポイントは、チームがブランド構築の意味と意義、ペルソナの共有を確実に行うこと。また、ブランドアイデンティティは、企業側からの主張ではなく、「ペルソナにどう思われたいか」というスタンスであることを踏まえれば、効果的なブランド構築を行えるはずです。